民泊新法、今国会で成立へ 宿泊業界は営業日数短縮を自治体に要望
住宅宿泊事業法(民泊新法)案が6月1日、衆院本会議で、与党と民進党などの賛成多数で可決した。都道府県への届け出や国への登録を義務づけたことで、誰でも空き部屋や空き家を有料で観光客に貸し出すことができる。参議院での審議を経て6月18日までの今国会で成立する見通し。早ければ2018年1月にも施行する。法案は営業日数を年間180日以内と定めた。地域の実情を反映し、自治体が条例で日数を短縮できる規定も盛り込んだ。家主居住型の民泊は、都道府県知事または市町村長に届け出をすることで事業が可能で、家主不在型の民泊は管理業者が国土交通大臣に、仲介業者は観光庁長官に登録を受けることで合法化する。
また、家主は宿泊者の衛生や安全の確保、外国人宿泊者の快適性と利便性の確保などを義務づけているほか、宿泊者名簿の作成、周辺住民からの苦情や問い合わせの処理、標識の掲示などについても義務づけた。家主不在型の場合、管理業者がその義務を負う。仲介業者には仲介料金を明らかにし、契約締結前の書面の交付・送付などを義務づけた。
罰則規定については、不正登録や未登録などを行った場合は事業者に対し6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金、管理業者・仲介業者には1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。
一方で、民泊に関してはゴミ出しの違反や夜間の騒音などに関して近隣住民とトラブルが多発している。
そのため、全旅連など旅館団体は「宿泊業界のエゴと思われないよう、地域の安全・安心を住民の皆さんと一緒に自治体に働きかけていきたい。営業日数の短縮、用途地域の制限などを引き続き国、地方自治体に要望する」(全旅連幹部)としている。