"DMOブーム"に思う
地域活性化を促す組織としてDMOの設立を国が後押しし、すでに百を超える団体がエントリー、にわかに"DMOブーム"だ。DMOとはデスティネーション・マネジメントおよびマーケティング組織の意味なので、地域運営と市場開拓を同時に行い、地域全体の利潤を追求することが本来的な目的だ。観光客が地元で消費する商品、コンテンツをつくる、あるいは地元に客を呼んでくる。そうして地元の経済を成り立たせ、地域で儲ける仕組みを作ろうということだろう。
ところが、現在のやや乱立気味とも感じる日本版DMOの場合は、どうなのだろう。まだ始まったばかりでもう少し長い目で見ないといけないのだが、コンサルタントが中心になって動き、地域の人たちの「顔」が見えない、観光目的の集客や誘客が主体になっていて既存の観光組織とどう違うのかわからない、などという声も聞く。
「地域にお金が落ちなくても、たくさんの人に来てもらって喜んでもらった。よかった」ではなく「これだけ地域が潤うようになった」と付け加えることができる組織として、地域づくりから関わる組織になれるかどうか。国からの助成金の予算がなくなれば、跡形もなく消えてしまう"泡沫版DMO"なんてことにならないことを望む。
(トラベルニュースat 16年10月25日号)