K県の商談会の巧みさ
夏休みが終わり、9月に入ると全国各地の自治体が旅行会社との商談会などを頻繁に行う。この欄でも取り上げることが多いが、自治体のスタンスや担当者の考えによって、同じ商談会でもこんなにも違うものかと、驚くことがままある。行政担当者の関心が首長の一挙手一投足にしか向いていないことがある。この場合は、集った旅行会社はお呼びではない。首長がいかにご機嫌よくトップセールスできるかにだけ注力する。何のための商談会かわからないが、その担当者にとっては意義あるものなのだろう。
反面、年に数回、関西で商談会を行っているK県は、おそらく県単位ではどの県よりも商談会を開いている。大手だけでなく中小旅行会社へもアプローチしているところに熱心さを感じる。
交流会にはK県が最も魅力ある観光素材とのひとつとして位置づける地元の食材と酒を持ち込み、ざっくばらんな雰囲気に持ち込む。参加した旅行会社代表もあいさつで、ついノリで「〇〇人必ずお客を送ります。皆さんもよろしく頼みます」。社交辞令もあるにせよ、商談会、交流会の間にK県の虜になってしまっているからこその宣言ではないだろうか。商談も大事だが笑談の雰囲気のなか、いかに人を「たらせる」かが商談のツボだと思う。
(トラベルニュースat 16年9月25日号)