【正論】筑波大学大学院教授・古田博司 歴史の善悪に拘泥してはならぬ
≪ドイツ観念論の悪しき影響≫ わが日本国では明治以来、大学の哲学科はドイツ中心なので、あまり役に立たないドイツ哲学ばかりを究めてきた。具体的なものより抽象的なものの方がえらいと思い込んでいるのも、全部ドイツ観念論の影響である。人間の快と苦とか有用性のあるなしとか、具体的なものの方が実生活では大事なのに、人類普遍の倫理とか世界史の普遍の法則とか、そういう大仰なまやかしばかりを大学で教えてきた。だから、大学で習ったことが全然役に立たないのである。